【視察報告】2日目 徳島県上勝町

先駆的なごみゼロ宣言と葉っぱビジネスのまちづくりで国内外に高い発信力

2日目は徳島県上勝町へ。高齢化率50%を超える四国で一番小さな山間部の町ですが、ふたつの事業で国内外から大きな注目を集めています。

ひとつは、ゴミについての事業

上勝町では2003年に「ゼロ・ウェイスト宣言」をし、ごみの再利用・再資源化を進め2020年までにごみをゼロにすることを目標としています。

上勝町でのごみの分別は13品目45分別。生ごみは全て各家庭、事業者で堆肥化しています。ごみ収集車はなく、町民はゴミステーションに生ごみ以外のごみを持ち込み分別する仕組み。持ち込めない住民には2か月に1度の回収サービスがあり、1回210円(200円は町負担)で回収しているとのこと。

回収ステーションでは分別されたもののリサイクル先と、何にリサイクルされるか、それにより町の収入になるのか、支出になるのかまで詳しく掲示されています。例えば紙類の分別だけでも9種類!ですが、リサイクル先や収支までわかることで分別するモチベーションが上がりそうです。今やリサイクル率81%を達成し海外からの視察も多いとのことでした。

また、リユースを促進するための「くるくるショップ」やリサイクルショップ「くるくる工房」も運営、町内で不要になった鯉のぼりや着物、衣類を使って小物や洋服などをリメイクし販売しています(鯉のぼりは市外からも送られてくるのだとか!)。一期一会のオシャレなデザイン小物が沢山あり見ているだけでワクワクするほどでした。

鯉のぼりの布地を使ったリメイク品が並ぶ

 

小銭入れやパスケース、ブックカバーなどの小物も!

 

もうひとつの事業は「葉っぱビジネス(彩事業)」

1986年にスタートしたこの事業は、日本料理に彩りを添える「つま物」を生産する事業です。元々はミカンの生産者が多かったが、冷害で生産ができなくなり困り果てていたとき当時の農協職員(のちに社長へ)のアイデアから生まれたビジネス。

多くは農家の嫁である女性が中心となり始まりましたが、これが女性ならではの感性を活かした質の向上とともに市場での認知度が上がると急拡大し、年収1000万円を超える方も出てくるほどのビジネスへと成長しました。

世の中の動きとともに紆余曲折を経つつも右肩上がりに成長を遂げている葉っぱビジネス

上勝町の高齢化率は50%を超え、葉っぱビジネスの生産者も高齢化していることから、近年はインターンシップ受け入れを進め、担い手づくりにも力を入れています。成果として若い世代の移住者も増えています。また、ITを活用したシステム「上勝情報ネットワーク」を導入し、生産者がパソコンやタブレット端末等を使って迅速に受発注する方法を取り入れ、他にも市場動向やニーズ、料亭等での利用の写真、出荷時の注意事項、クレームのフィードバックなどの情報公開に活用し、生産者との共有を図っているとのこと。生産者同士の競争意識なども働き、やりがいをもって仕事をしている生産者が多いというのが印象的でした。

今回視察説明を担当していただいた特定非営利活動法人 ゼロ・ウェイストアカデミーの方々はみな若い移住者で、リサイクルショップやカフェなど魅力のある店も増えつつあり、こうした力によってまちにも活気や新たな魅力が生まれているように感じました。

オシャレなカフェも点在し、地元出身の方もUターンで働いていました

美しい葉の彩りを添えるだけで、ケーキもより美味しそうに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿泊先にあった「まゆみ」の木と。手に持っているのは地元で生産された葉をプリントして作られたエコバッグ