【視察報告】3日目 兵庫県明石市

すべての子どもたちへの切れ目のない支援に注力したまちづくりで税収も人口も増加に成功

最終日は、充実した子ども施策で子育て世帯を中心として7年連続で人口増、税収も出生率も増加していることで有名な明石市へ。

明石市では、2017年に子ども総合支援条例を制定し、子どもは1人では生きられないことから、すべての子どもを対象とする支援を明文化しました。これは、すでに現市長になってから約10年で積極的な子ども施策が進み実績を出しているものの、たとえ現市長が変わったとしても、市の姿勢は変わらずに、すべての子どもたちへの切れ目のない支援を続けていく、ということを担保するために作られたのだといいます。

このため条例の検討を開始してから施行まで 1年間という非常に短い期間で(そうはいっても小中高の子どもたちへの聞き取り等も開催)、さらに議会でも個別に進捗状況等を説明しにいくなどした結果、全会一致で可決されたようです。

保育料や医療費の補助に所得の制限をかけないのは、あくまでも子ども本人が対象だからとのこと。児童福祉費はここ10年間、毎年10%ずつ増えているそうです。また、弁護士資格を持つ職員が約10人おり、条例の制定や児童相談所での対応に当たっていることも、市としては大変珍しいといえるのではないでしょうか。2018年に中核市になり、保健所や児童相談所などを設置しています。

必要な人に必要な支援をという市長の理念は、市の担当者の方々の姿勢からも、その本気度がよく伝わってきました。

何か緊急に解決すべき問題がある場合、専門チームが編成され、対応策を練るのだそう。四半期に1度くらい人事異動があるそうで、これは行政組織としてはかなり珍しいと思うが、課題が明確になり、ほかの仕事を兼務しながら課題に当たるよりも短期集中でやるほうが取り組みやすいとのことでした。

目下の課題は、増え続ける子育て世帯を迎えるに当たっての保育所整備だそう。5年間で5700人も受け入れを増やしたものの、子育て世代の流入によりまだまだ兵庫県一入りにくい状況が続いているとのことです。小平市もそうですが、場所を増やすとともに課題となる保育の質についても注目していきたいところです。

話をきいたあとは視察の会場でもある「パピオスあかし」のなかを案内していただきました。

あかし総合窓口、あかし市民図書館、あかしこども広場と約60店のショッピングゾーンがある7階建てのこの施設は、どの階も広々と開放的で明るく、ベビーカーに子どもを乗せたママたちが沢山来ていました。

ここなら、1日でも子どもと楽しく過ごせそう!とっても素敵な施設でした。

子ども施策ももっと聴きたいことが満載でしたが、あまりにどの分野も魅力的で、今回は主に条例についての質疑になりました。でもやはりもっと詳しく知りたい!ということで、これはまた何度も来るしかない!という結論に至りました。

今回の視察では3か所の自治体を訪問し、担当部署の方々にお話をお伺いし現場を見せていただきましたが、どこもそれぞれ特色ある施策に力を入れており大変勉強になりました。

見習うべき施策を行う自治体を訪れて担当者から施策についての詳細を聴き、またそのまちの状況を実際に見て肌で感じることは非常に有意義であり、こうして得た見識を小平市の施策提案にも活かしていきたいと思います。

子どもと楽しみながら長く過ごせそうな親子交流スペース。市内在住者は無料で利用できる

明石といえばタコ!ということで、さかなくん監修の水族館ギャラリーもありました!

同じ建物の中にある図書館も、開放感があり親子で使いやすく工夫されたつくりに

広々とした館内には来館者のベビーカーがズラリ!

今回の視察では福生ネットの代理人三原智子氏も同行しともに学びました